yamamototis1105’s tech blog

ネットワークを中心とした技術ブログです

Google Cloud SD-WAN / Routerアプライアンスを用いたハイブリッド接続:Network Connectivity Centerへの移行ポイント

はじめに

 Google Cloud上でSD-WAN / Routerアプライアンスを用いてハイブリッド接続する場合に、一昔前は一苦労のうえ構築していましたが、今ではマネージドサービスでシンプルかつスピーディに構築できるようになっています。
 本記事では、Google Cloud上でSD-WAN / Routerアプライアンスを用いたハイブリッド接続する場合において、既存の構成からNetwork Connectivity Center構成への移行ポイントなどをご紹介したいと思います。

Network Connectivity Centerとは

 Hub-Spoke構成のネットワークが構築できるサービスで、Network Connectivity CenterをHubとし、VPC、Cloud VPN、Cloud Interconnect、Router ApplianceをSpokeとして接続できます。
 トポロジやフィルタを設定することにより、アドバタイズされるサブネットやカスタムルートを制御することも可能です。

VPC間接続
 メッシュ型でなくスター型で接続でき、シンプルな構成となります。
VPC~Cloud VPN/Interconnect間接続
 複数のVPCで一つのハイブリッド接続を共用できます。
VPC~Router Appliance間接続
 ダイナミックルーティングでVPCアプライアンスを接続できます。

 Network Connectivity Centerドキュメントは以下のリンクをご参照下さい。

cloud.google.com

移行前構成

 HAコンフィギュレーションガイドに従って冗長化されたCISCO Catalyst 8000V構成です。
HAコンフィギュレーションでは、副系ルータから主系ルータへのBFDポーリングで故障検知し、Google Cloud APIVPC上のルートを更新することによりフェイルオーバーします。

 CISCO Catalyst 8000VからVPCルートへのGoogle Cloud APIIOS XE上のコンフィグだけでなく、Guest Shell上でpythonパッケージをインストールのうえ設定や運用が必要となります。それらの負荷を軽減する観点では、可能な限りマネージドサービスへの置き換えが望ましいと思います。

 CISCO Catalyst 8000VのHAコンフィギュレーションガイドは以下のリンクをご参照下さい。

www.cisco.com

移行後構成

 Network Connectivity CenterでSpokeとして接続されたCISCO Catalyst 8000V構成です。
Network Connectivity Centerでは、CloudRouter~CISCO Catalyst 8000V間もBGPで制御することで、CloudRouterで故障検知からフェイルオーバーまで実施します。

 CloudRouter~CISCO Catalyst 8000V間はデフォルト2セッションと信頼性が高く、CloudRouterでMEDを制御できたりCISCO Catalyst 8000VでAS PATHを制御できたりと自由度も高いです。ただし、CloudRouter状態の一部はコンソールでなくコマンドでしか確認できないためご注意下さい。

 CloudRouter状態の確認コマンドは以下のリンクをご参照下さい。

cloud.google.com

移行時におけるポイント

 VPC PeeringからCloud VPNへ切り替えたうえでNetwork Connectivity Centerへ切り替えています。Network Connectivity Centerへ直接切り替えない理由は、VPC PeeringとNetwork Connectivity Centerが同時接続できず切断時間が長くなるためです。もっとスマートな移行方法はあるかと思います汗
 また、構築時にリソースを作成し、切り替え時にパラメータを変更しています。万が一、切り戻しが発生した場合にリソースを削除するのではなくパラメータを戻すだけで済み、切断時間が短くなるためです。

Cloud VPNへの切り替え
 Cloud VPN作成時はVPC PeeringルートよりCloud VPNルートの方が優先度を低くするようにし、切り替え時に高くなるように変更します。
Network Connectivity Centerへの切り替え
 Network Connectivity Cener切り替え時も各ルート優先度を制御するか、CloudRouterのBGPピアをOFFからONに変更することで切り替えを行います。

まとめ

  • Google Cloud上でSD-WAN / Routerアプライアンスを用いてハイブリッド接続する場合には、Network Connectivity Centerによってシンプルかつスピーディに構築できます。
  • 既存の構成からNetwork Connectivity Center構成に移行する場合には、切り替えおよび切り戻しは構成変更の順序やパラメータ変更の内容により切断時間を抑えることができます。

おわりに

 Network Connectivity Centerリリースから時間が大分経ってからの紹介となってしまいましたが、Google Cloud SD-WAN / Routerアプライアンスを用いたハイブリッド接続において大変有用なサービスとなっていますので、もし構築や移行を予定されている方は是非ご検討してみてください。