yamamototis1105’s tech blog

ネットワークを中心とした技術ブログです

AWS ハイブリッド接続のBGPパラメータ設計のポイント

はじめに

 昨年ご紹介したAWS DirectConnectパートナーのチェックポイントですが、BGPパラメータあたりがフワッとした書きっぷりでしたので、実際どう設計するか整理してみました。
 本記事は、AWSハイブリッド接続のBGPパラメータ設計で必要な情報を纏めています。

  • 本記事で説明すること
    • DirectConnect(PrivateVIF/TransitVIF)上のBGPパラメータ設計
    • Site-to-Site VPN上のBGPパラメータ設計
      ※ Site-to-Site VPN over DirectConnect(TransitVIF/PublicVIF)もコチラへ含まれます。
  • 本記事で説明しないこと
    • DirectConnect(PublicVIF)上のBGPパラメータ設計
    • TGW Connectアタッチメント上のBGPパラメータ設計
    • 仮想ルータ~オンプレミスルータ間のBGPパラメータ設計
    • インターネット上のBGPパラメータ設計
      ※ DirectConnect(PublicVIF)上のBGPパラメータ設計は私が利用しないので割愛します汗
yamamototis1105.hatenablog.com

BGPとは

 「IPネットワーク上で通信するために必要なルート情報を動的に更新するプロトコルの一つ」とだけ覚えとけば、AWS利用上で困らないと思います(NEの風上にも置けぬ奴と言われそうですが...汗)。
公式サイトで詳しくは説明されていますので、ご興味がある方は是非ご覧下さいませ。

aws.amazon.com

BGPパラメータ設計

 BGPトポロジ、BGPメトリック、BGPタイマーの切り口で考えると理解しやすいかなと思います。こちらの切り口で、DirectConnect冗長構成(パートナー機器なし)、DirectConnect冗長構成(パートナー機器あり)、DirectConnect/Site-to-Site VPN冗長構成の各パターンを見ていきたいと思います。

1. BGPトポロジ

 BGPスピーカーにASNを設定し、BGPピアリングを構成します。

DirectConnect冗長構成 (パートナー機器なし)
 TGWのASNは64512、DXGWのASNは64513、ユーザ機器のASNは65000を割り当てています。
DirectConnect冗長構成 (パートナー機器あり)
 パートナー機器のASNはパートナー側で固定化されています。
単一ASNだけでなく複数ASNを経由する場合もあり、パートナーへ確認する必要があります。
DirectConnect/Site-to-Site VPN冗長構成
 Site-to-Site VPNはデフォルトでBGPピアリング over VPNトンネルが冗長化されています。
それ以外、ASNの割り当て方はDirectConnectと変わりありません。

2. BGPメトリック

 BGPピアリングごとのメトリックを設定し、BGPルーティングを制御します。

DirectConnect冗長構成 (パートナー機器なし)
 AS Pathは、メインのユーザ機器に65000、バックアップのユーザ機器に65000 65000を設定し、メインが64513、65000の合計2パス、バックアップが64513、65000、65000の合計3パスになり、AWS→オンプレミス通信はメインパスが優先されます。
 Local Preferenceは、メインのユーザ機器に200、バックアップのユーザ機器に100を設定し、オンプレミス→AWS通信はメインパスが優先されます。
DirectConnect冗長構成 (パートナー機器あり)
 AS Pathは、メインのユーザ機器に65000、バックアップのユーザ機器に65000 65000を設定し、メインが64513、XXXXX、65000の合計3パス、バックアップが64513、YYYYY、65000、65000の合計4パスになり、AWS→オンプレミス通信はメインパスが優先されます。
 Local Preferenceは、メインのユーザ機器に200、バックアップのユーザ機器に100を設定し、オンプレミス→AWS通信はメインパスが優先されます。
DirectConnect/Site-to-Site VPN冗長構成
 Site-to-Site VPN向けルートよりDirect Connect向けルートの方が優先されるため、AS Pathは設定しなくてもAWS→オンプレミス通信はメインパスが優先されます。
 Site-to-Site VPNよりDirect Connectの方がデフォルトMEDが小さいため、Local Preferenceは設定しなくてもオンプレミス→AWS通信はメインパスが優先されます。

3. BGPタイマー

 BGPピアリングごとのタイマーなどを設定し、BGPフェイルオーバータイムを制御します。

DirectConnect冗長構成 (パートナー機器なし)
 タイマー10s/30s、BFD300ms/3回をユーザ機器に設定します。
DirectConnect冗長構成 (パートナー機器あり)
 AWS~パートナー機器間のBGPフェイルオーバータイムは、パートナー機器のタイマーBFDの設定次第のため、パートナーに確認する必要があります。
DirectConnect/Site-to-Site VPN冗長構成
 BFDは回線品質が安定しないSite-to-Site VPNに設定することを推奨しません。
それ以外、タイマーの設定方法はDirectConnectと変わりありません。

まとめ

 AWSハイブリッド接続のBGPパラメータは、以下の切り口で考えると理解しやすいです。

  • BGPスピーカーにASNを設定し、BGPピアリングを構成します。
  • BGPピアリングごとのメトリックを設定し、BGPルーティングを制御します。
  • BGPピアリングごとのタイマーなどを設定し、BGPフェイルオーバータイムを制御します。

おわりに

 AWS ハイブリッド接続のBGPパラメータを設計される方々にとって、本記事がご参考になりますと幸いです。